転生したらひとりぼっちだった私、最強国の冷徹大公に拾われる~不愛想な最強保護者のもとで、稀代の才能が花開きました~
手伝いを申し出てくれたテトラやタリアと、一心不乱にリンゴを摺り下ろし、その合間で、肉から出た水気を丁寧に拭き取っておく。
その後、摺り下ろしリンゴと肉を樽の中に入れ、しばし待つことにした。
「テトラさん、魔獣ガルの肉って、人間が食べても大丈夫なんですか?」
「ああ、問題ない。固くなければ、だがな」
「そうですか。じゃあ、焼いたらお味見できますね」
さすがに生は食せない。現代の整った設備で調理された肉でさえ、たまに食中毒を起こすのだから、ここで生食は自殺行為だ。
竜族は耐性があるから生で食べているけれど、人はダメ、絶対。
生きてこその人生、私はまだ死にたくはない。
「わしも昔焼いて食ったことがあるが、固いし筋が多くてダメだった。あれがなんとかなるなんて信じられないが」
「私もドキドキしています。ただ、なんとかなりそうな気はしています!」
「なんとか、か。ははっ、能天気だな。でも、そのくらいの気持ちがちょうどいいのかもしれん。失敗を恐れず試行錯誤する、ってのは子どもの特権だからな」
「あら、後輩ができて、テトラ爺さんも上からものを言うようになったじゃない?」
タリアがからかうようににやりと笑った。
「い、いや、そんなことはねえよ!」
慌てて取り繕うテトラを見て、私とタリアは笑った。
ドラン公国に来てまだ三日目だけれど、ずっとここにいたような気がしている。もちろん、それは思い違いだ。遠いパルティナ国で生まれた私が、この国に縁があるはずもない。
でも、不思議と肌が合う、と感じる気持ちはきっと間違いなんかじゃないと思った。
約一時間後、樽から肉を取り出し丁寧に拭くと、小さく切って焼いてみた。焼ける香りは、ほんのり甘い。リンゴの果汁がしみ込んだような、爽やかで甘い、食欲をそそる香りだ。
中までしっかり火を通してから、小さく切ってテトラとタリア、三人で分ける。私たちはせーので一気に口に放り込んだ。すると、ほどよく噛み応えのある食感と少しの酸味が合わさって、得も言われぬ旨さを感じた。
「おい……おいおいおい! 旨いじゃないか!」
「信じられない……こんなに柔らかくなるの?」
テトラとタリアが目を白黒させる。先導した私も、この素晴らしい仕上がりには驚きを隠せない。
入退院を繰り返して十八年、生きてやるという執念で行った情報収集は、決して無駄じゃなかった。
今、本当にそう思う。
「うん……これなら、小竜も食べやすいと思います。でも、生ではどうなんでしょうね。柔らかくなっているのかどうか……」
竜たちは基本肉を生で食べる。でも、私たちには生では試食ができないのだ。
「両方作って小竜たちに決めてもらえばどう? 生がいいか、焼きがいいか、をね」
「タリアさん、さすがです! そうしようと思います。じゃあお昼に間に合うように早速準備しますね」
「ふふ。頑張ってね。私も仕事に戻るわ。テトラ爺さん、ちゃんとネリーを手伝ってあげてね」
「わかってるよ! 小言が多いんだからなあ」
テトラは肩を竦めた。タリアは楽しそうに笑いながら去り、小屋に残された私たちは、樽に残った肉から半分を取り出し焼き始めた。
その後、摺り下ろしリンゴと肉を樽の中に入れ、しばし待つことにした。
「テトラさん、魔獣ガルの肉って、人間が食べても大丈夫なんですか?」
「ああ、問題ない。固くなければ、だがな」
「そうですか。じゃあ、焼いたらお味見できますね」
さすがに生は食せない。現代の整った設備で調理された肉でさえ、たまに食中毒を起こすのだから、ここで生食は自殺行為だ。
竜族は耐性があるから生で食べているけれど、人はダメ、絶対。
生きてこその人生、私はまだ死にたくはない。
「わしも昔焼いて食ったことがあるが、固いし筋が多くてダメだった。あれがなんとかなるなんて信じられないが」
「私もドキドキしています。ただ、なんとかなりそうな気はしています!」
「なんとか、か。ははっ、能天気だな。でも、そのくらいの気持ちがちょうどいいのかもしれん。失敗を恐れず試行錯誤する、ってのは子どもの特権だからな」
「あら、後輩ができて、テトラ爺さんも上からものを言うようになったじゃない?」
タリアがからかうようににやりと笑った。
「い、いや、そんなことはねえよ!」
慌てて取り繕うテトラを見て、私とタリアは笑った。
ドラン公国に来てまだ三日目だけれど、ずっとここにいたような気がしている。もちろん、それは思い違いだ。遠いパルティナ国で生まれた私が、この国に縁があるはずもない。
でも、不思議と肌が合う、と感じる気持ちはきっと間違いなんかじゃないと思った。
約一時間後、樽から肉を取り出し丁寧に拭くと、小さく切って焼いてみた。焼ける香りは、ほんのり甘い。リンゴの果汁がしみ込んだような、爽やかで甘い、食欲をそそる香りだ。
中までしっかり火を通してから、小さく切ってテトラとタリア、三人で分ける。私たちはせーので一気に口に放り込んだ。すると、ほどよく噛み応えのある食感と少しの酸味が合わさって、得も言われぬ旨さを感じた。
「おい……おいおいおい! 旨いじゃないか!」
「信じられない……こんなに柔らかくなるの?」
テトラとタリアが目を白黒させる。先導した私も、この素晴らしい仕上がりには驚きを隠せない。
入退院を繰り返して十八年、生きてやるという執念で行った情報収集は、決して無駄じゃなかった。
今、本当にそう思う。
「うん……これなら、小竜も食べやすいと思います。でも、生ではどうなんでしょうね。柔らかくなっているのかどうか……」
竜たちは基本肉を生で食べる。でも、私たちには生では試食ができないのだ。
「両方作って小竜たちに決めてもらえばどう? 生がいいか、焼きがいいか、をね」
「タリアさん、さすがです! そうしようと思います。じゃあお昼に間に合うように早速準備しますね」
「ふふ。頑張ってね。私も仕事に戻るわ。テトラ爺さん、ちゃんとネリーを手伝ってあげてね」
「わかってるよ! 小言が多いんだからなあ」
テトラは肩を竦めた。タリアは楽しそうに笑いながら去り、小屋に残された私たちは、樽に残った肉から半分を取り出し焼き始めた。