転生したらひとりぼっちだった私、最強国の冷徹大公に拾われる~不愛想な最強保護者のもとで、稀代の才能が花開きました~
(竜大公シリウスサイド)
ドラン公国は、ドラウグル山を中心に放射線状に町が形成されている。家々は白い壁で築かれ、大公が住む居城は白亜の城と謳われて、見る者全てが感嘆の声を漏らすという。
この国を訪れた者は皆、故郷に帰りこう言うのだ。
『ドラン公国を見ずして死ねぬ』と。
そんな叙事詩に出てきそうなドラン公国は、竜という神秘と美しい宝石、ひとりの独裁的な男に象徴される。
まず竜という生物について人々が想像するのは『神聖』と『最強』の二語だろう。
別名『神の居城』と呼ばれるドラウグル山の澄んだ空気にしか適さず、人類が建国する以前からそこに住んでいる。太古の昔より存在することから、彼らは神聖なる生物として現在も崇拝の対象だ。
ドラン公国の祖は、この場所に建国する際、敬意をもって竜族に会いに行き、その長に大変気に入られた。そして、ある契約を持ちかけられたという。
『人間が竜族の住むドラウグル山を守れば、見返りとして竜族が人間に力を貸す』
彼らがこんな契約を持ちかけた理由は、徐々に増えていく人間が、ドラウグル山に踏み込むことを嫌ったからだ。炎と氷の属性を持ち、一個体の力も軍隊を超えるほどの竜族ならば、人間ごときの力を頼らずとも生きていける。ただ聡明な竜族は、数百年後、人間の数が自分たちの数をはるかに凌ぐことを予見していた。ならば、人間の中でも誠実で賢い者と手を結び、のちの憂いをなくそうという考えからの契約だったそうだ。
かくしてその契約は、固く結ばれながらも徐々に変化をしていく。現在竜族は、ドラン公国の兵士とペアを組み『ドラン公国竜騎士隊』と呼ばれる軍隊に組み込まれている。
次にドラン公国を象徴するものといえば、ドラウグル山でしか採掘されない希少で貴重な鉱石『ドラゴンアイ』だ。
金色に輝く輝石の中に、縦に走る漆黒の文様。竜の瞳に酷似していることから名付けられた鉱石は、最下級のものでも、かなりの値段で取引されている。
圧倒的な武力とドラゴンアイの独占による資金力により、ドラン公国は他を一切寄せつけない強国として君臨していた。
月明かりの差し込む執務室の中で、最強の大国を率いる男は悠然として椅子に腰かけ、冷ややかな瞳で話を聞いていた。
彼の唯一の側近である宰相グレイグは、主君の瞳に宿る不満を読み取りながら先を続ける。
「シリウス様、ドラゴンアイを横流した男の背後には、もっと大きな組織がいるように思います。本人は固く口を閉ざしていますが、個人や小さな組織が教唆したにしては不審な点が残ります。いかがされますか?」
先日、ドラウグル山の鉱山から、ドラゴンアイを含む数点の鉱石と鉱物が紛失した。これらは、シリウス自らが組織する『ユルング商会』によって非常に厳しく管理されている。
鉱山で働く者は、雇用時に身元も調査されるが、それでも犯罪はなくならない。欲望に負けた者、あるいは他者に脅され仕方なく。理由は様々であるが、鉱石を巡ってのトラブルはあとを絶たない。
竜大公と呼ばれる男シリウスは、その切れ長の三白眼をグレイグに向けた。
「殺さない程度に尋問したら逃がせ」
「逃がしてもよろしいのですか? 吐かせる方法ならいくつかありますが」
「男の口から黒幕を吐かせたところで、なんの証拠にもならない。男の一存でやった、と黒幕が言い張ればそれで終わりだ」
「なるほど。黒幕との繋がりを確定させてから根絶すると……」
グレイグは頷く。今まで、鉱石の窃盗や横流しは、単独犯が多かった。しかし、最近では、もっと大きな組織の関与を感じるようになっていた。
ドラン公国は、ドラウグル山を中心に放射線状に町が形成されている。家々は白い壁で築かれ、大公が住む居城は白亜の城と謳われて、見る者全てが感嘆の声を漏らすという。
この国を訪れた者は皆、故郷に帰りこう言うのだ。
『ドラン公国を見ずして死ねぬ』と。
そんな叙事詩に出てきそうなドラン公国は、竜という神秘と美しい宝石、ひとりの独裁的な男に象徴される。
まず竜という生物について人々が想像するのは『神聖』と『最強』の二語だろう。
別名『神の居城』と呼ばれるドラウグル山の澄んだ空気にしか適さず、人類が建国する以前からそこに住んでいる。太古の昔より存在することから、彼らは神聖なる生物として現在も崇拝の対象だ。
ドラン公国の祖は、この場所に建国する際、敬意をもって竜族に会いに行き、その長に大変気に入られた。そして、ある契約を持ちかけられたという。
『人間が竜族の住むドラウグル山を守れば、見返りとして竜族が人間に力を貸す』
彼らがこんな契約を持ちかけた理由は、徐々に増えていく人間が、ドラウグル山に踏み込むことを嫌ったからだ。炎と氷の属性を持ち、一個体の力も軍隊を超えるほどの竜族ならば、人間ごときの力を頼らずとも生きていける。ただ聡明な竜族は、数百年後、人間の数が自分たちの数をはるかに凌ぐことを予見していた。ならば、人間の中でも誠実で賢い者と手を結び、のちの憂いをなくそうという考えからの契約だったそうだ。
かくしてその契約は、固く結ばれながらも徐々に変化をしていく。現在竜族は、ドラン公国の兵士とペアを組み『ドラン公国竜騎士隊』と呼ばれる軍隊に組み込まれている。
次にドラン公国を象徴するものといえば、ドラウグル山でしか採掘されない希少で貴重な鉱石『ドラゴンアイ』だ。
金色に輝く輝石の中に、縦に走る漆黒の文様。竜の瞳に酷似していることから名付けられた鉱石は、最下級のものでも、かなりの値段で取引されている。
圧倒的な武力とドラゴンアイの独占による資金力により、ドラン公国は他を一切寄せつけない強国として君臨していた。
月明かりの差し込む執務室の中で、最強の大国を率いる男は悠然として椅子に腰かけ、冷ややかな瞳で話を聞いていた。
彼の唯一の側近である宰相グレイグは、主君の瞳に宿る不満を読み取りながら先を続ける。
「シリウス様、ドラゴンアイを横流した男の背後には、もっと大きな組織がいるように思います。本人は固く口を閉ざしていますが、個人や小さな組織が教唆したにしては不審な点が残ります。いかがされますか?」
先日、ドラウグル山の鉱山から、ドラゴンアイを含む数点の鉱石と鉱物が紛失した。これらは、シリウス自らが組織する『ユルング商会』によって非常に厳しく管理されている。
鉱山で働く者は、雇用時に身元も調査されるが、それでも犯罪はなくならない。欲望に負けた者、あるいは他者に脅され仕方なく。理由は様々であるが、鉱石を巡ってのトラブルはあとを絶たない。
竜大公と呼ばれる男シリウスは、その切れ長の三白眼をグレイグに向けた。
「殺さない程度に尋問したら逃がせ」
「逃がしてもよろしいのですか? 吐かせる方法ならいくつかありますが」
「男の口から黒幕を吐かせたところで、なんの証拠にもならない。男の一存でやった、と黒幕が言い張ればそれで終わりだ」
「なるほど。黒幕との繋がりを確定させてから根絶すると……」
グレイグは頷く。今まで、鉱石の窃盗や横流しは、単独犯が多かった。しかし、最近では、もっと大きな組織の関与を感じるようになっていた。