監禁溺愛!? ~猫好き主任は、猫っ毛の年下部下に篭絡される~
 私は冷静を装って彼に告げる。
「大事な人がいるなら、その人を大切にしてあげなよ」

「もちろん、そうしますよ」
 彼は当然のように請け合い、それを聞いた私は立ち上がる。

「お先に」
「お気をつけて」

 お会計を済ませて店を出た私は、ため息をついた。
「恋人、いたんだ……」

 彼の髪には二度と絶対にさわれないな。
 そんなことを思って見上げた空は、月も星もかすんでいた。



 翌日、出勤した彼はまた眠たげだった。しかも。

「蒼澤くん、ほっぺたどうしたの?」
 同僚の女の子が彼に尋ねる。

 私は声につられて彼を見て、顔をしかめた。
 頬にはあきらかなひっかき傷。昨夜まではなかったのに。

「浮気がばれたみたいでさ。一緒に住んでるとやっぱわかっちゃうもんかな」
 彼は悪びれた様子もなく猫っ毛をかきあげた。

「ばれなきゃいいと思ったわけ」
「言わなきゃわかんないと思うじゃん」

 蒼澤くんの答えに同僚がドン引きしている。うん、わかる。私もドン引きした。一緒に住んでる女性がいるなんて初めて知ったけど。

 浮気って私じゃないよね? ほかにちゃんと――っていうのもおかしいけど、浮気してる女性がいたの?

 女の子は顔をひきつらせて席に戻っていった。

 蒼澤くんはなぜか満足そうに唇を吊り上げ、それから私を見た。その目は挑発するかのようだった。
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