手フェチ女とピアニスト

第三話 トラブル

◇◇◇

 ――約束の日がやって来た。

(早く来すぎちゃった)

 仕事を爆速で終わらせて来たら、なんと涼より早く店に着いてしまった。

 由麻が暇つぶしにスマホを見ていると、約束の時間になり。

「由麻、お待たせ」
「あっ涼さん」

 涼が現れて、由麻の隣の席に座ろうとした――その時。
 涼の背後にいた若い女性が大声で叫んだ。

「さっき、すれ違いざまに、この人にお尻触られました!」

 女性の声の大きさと内容のせいで、店内中の注目が集まる。

「は……? そんなことしてませんが」

 涼が困惑しながらもきっぱりと否定するが、女性は「じゃあ私がウソついてるって言うの!? 私がすれ違ったのは、貴方だけだった!」と激昂した。

(現場を見てないけど、涼さんがそんなことするはずない)

 涼も由麻も戸惑っていると、テーブル席で食事をしていた眼鏡の男性が近づいて来た。
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