手フェチ女とピアニスト
「涼さんは小指が人より長いし、爪が割れないよう補強用の透明ネイルを塗ってるから微かに艶があります。ほら、この写真は小指が長くないし、爪に艶がない!」
由麻の迫力に圧倒されたのか、何人かは涼の手とスマホを見比べて「確かによく見ると、細かい部分が違うな……」と言い始める。
「そんなの、角度でどうとでも見えるでしょ!」
女性が引かないので、由麻は思わずキレた。
「では私が一人ずつ手を見て、真犯人を見つけます!」
「見ただけで何がわかるのよ!?」
目を伏せた由麻が、静かに口を開く。
「わかりますよ。私……手フェチなので」
「手フェチ!?」
大勢の戸惑った声が響く。
由麻の視界の端に驚く涼が映った。
(あーあ、終わった……。でも手フェチの名にかけて、真犯人を見つけて涼さんを助ける!)
「若い男性の方はご協力お願いいたします! 一人ずつ、お手を確認させてください」
「あ、ああ」
由麻は若い男性客達の手をすごい早さでチェックしていく。
すると、こそこそと出入口から逃げようとする男が。