手フェチ女とピアニスト
(見た目だけじゃなくて中身もかっこいい人だなぁ)
「CMやドラマで使われてみんな知ってる曲を弾いてくれるから、楽しいっスよ」
「クラシックに詳しい人には、有名曲ばっかりで退屈と非難されることもあるけどな」
「どの曲も好きなので、楽しみです!」
由麻はチラシに書いてある曲目を見ながら言ったが、実は全然知らない。
(あんな悲しそうな笑顔見たら、つい! 後で調べないと……!)
居酒屋から帰った由麻は、早速スマホで黒峰 涼について調べた。
「私より3歳上の30歳、丁度いいな。はぁ~ピアノ弾いてる手が色気ありすぎ! こんな理想的な手の人が存在したなんて……!」
検索して出てきた沢山の涼の画像の手を見て、由麻は独り言を呟く。
「そうだ、演奏する曲を調べないと!」
曲名をひとつひとつ検索をして視聴する健気な由麻だった。
◇◇◇
「ブラボー!」
涼のピアノリサイタルは拍手に包まれ、大盛況で終わった。
由麻は涼の手目当てで行ったけれど、純粋にピアノも楽しめた。
涼が弾くピアノは、今まで聴いたものと全く違って。
軽やかな曲は音が弾け、しっとりとした曲は艶やかに響き、世界的ピアニストの実力を存分に感じたのだ。
(それからやっぱり涼さんの手! 合法的にいろんな手を見ることができて最高だったなー!)
ピアノを弾く涼の手を存分に堪能することができた由麻が、ほくほくしながら席を立つと。