手フェチ女とピアニスト

「あっお客さん!」
「店長さん」
「今から涼のとこ行くんで、一緒に行きませんか?」
「ぜひ!」

 店長と他愛のない雑談をしながら歩いていると、すぐに控え室に着いた。
 店長が大声で「涼! いるか~!」と言いながらノックをすると、すぐにドアが開く。

「涼、あの時のお客さんもいるぞ!」

 店長が由麻を手で示すと、涼は「あ!」と小さく声を上げた。
 どうやら、涼も由麻のことを覚えてくれているらしい。

「佐伯 由麻と申します。音色がきらきらとしていて、本当に楽しかったです!」

 由麻が興奮気味に伝えると、涼はふわりと笑った。

「ありがとうございます」

 照れ隠しなのか、涼は人差し指で自身の頬を掻く。

(何気ない仕草なのに、手を見ちゃう! 爪も綺麗。多分補強用のネイル塗ってるな)

 雑談をしながらも、じっくりと涼の手を観察していた由麻。

(やばい。私、手を見すぎ!)

 さりげなく視線を反らした由麻の目に、あるものが映る。
 
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