手フェチ女とピアニスト

第二話 近づく距離

◇◇◇

「こんばんはー」
「由麻さん、いらっしゃい! お仕事お疲れっス!」

 あれから店長の居酒屋に通い、すっかり常連になった由麻。
 涼のことを抜きにしても、料理が美味しいからだ。

「ああ由麻、こっちへおいで」

 由麻の来店に気づいた涼が、一番端のカウンター席から手招きをする。

(涼さんは海外育ちだから、呼び捨てに意味はないってわかってるのに、ドキドキしちゃう)

 由麻は涼の隣の席に腰を下ろした。
 この店で何度も顔を合わせるうちに、いつの間にか一緒にご飯を食べる間柄になっていた涼と由麻。

(今の私たちの関係って、顔見知り?)

 店員に注文を伝えてから、涼の方を向く。

「涼さん、毎晩ここにいません?」
「だって、店長ーー健太の料理が美味いから」
「ふふ、仲いいんですね」

(この感じ、今は彼女いなさそうだな)

 由麻は相槌を打ちながら、そんなことを考えていた。
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