ある熱帯の天使
みんな好き勝手、石を投げられたら安心するんだと思った。一体どうしてこんな袋小路にはまってしまったんだろうと思って一人、塞ぎこんでた。適当に拾った本を二、三読み終えた図書館から出て駅のホームのベンチで座り込んでた。下を向いて、俯きながら開いた両膝に両手をのせて。そこから見える、こっちのホームから直に聴こえるアナウンスの後に来る列車は豪速で何度も駆け抜けた。ストライク、ストライク、ボール。野球のスタジアムをなぜか思い出してた。思い出す必要も、思い出す気も無かったのに。駆け抜ける列車を間近で見てたら、頭がおかしくなりそうだった。もう、おかしいのかも。飛ばしてくれ、なんて間近だったら言えないな。飛ばしてくれ、なんて思っても飛ばされる気には更々ならなかった。うぇ~。酒の匂いがする。俺の匂いか、そこで呑んでる親父の匂いかと思ったよ。斜め向こう、離れた座席シートに座る親父の匂いが鼻に届くはずが無いしね。本当かな。