ある熱帯の天使
それから、絵を描くことをやめた僕は、カーテンを開けることもなく、一日中、部屋に籠りきり。鳥の声だけを耳にして、後は何も考えることはない。長い一日をずうっーと、一点を見つめたまま、この世界は何かの間違いだったと思考を巡らせて、時々笑ったり、時々怒ったりしながら、次第にご飯を口にしなくなり、食事は簡素なものや、おやつに変わり、栄養を気にすることは一切なくなった。寝たり起きる時間も曖昧で時計を気にすることはなくなった。時おり外に出たい気分になったら、自転車を走らせて、田んぼの見える場所まで向かう。そこにないスケッチブックと絵の具パレットを抱えるふりをして、三角座りで絵を描く。頭の中にあるのは風景。バッタを捕まえて、上から石で押し潰すと、バッタから色んな色が出てくる。アスファルトに写ったそれを見て、僕は一人でに、笑う。カエルを踏みつけて、何度も踏みつけて、伸びたカエルが広がっていく様を見て大きな声を出して笑う。「僕の見た風景」という題を付けて、自転車に乗って、ニヤニヤしながら家に向かって、大きな音を出して家の扉の鍵をガチャガチャ。
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