俺に愛されてみないか? ~孤高のパイロットとの偽り新婚生活は熱くて甘い~
あれは確か一年くらい前。
仕事帰りに立ち寄ったよく行く定食屋で彼と居合わせたときのこと。同僚らしき男性と一緒にいた彼は、見るからにご機嫌斜め。
でも私と彼とは、空港内で顔を合わせることはあっても挨拶をする程度。機嫌が悪かろうがなかろうが、そんなこと私には関係ない。我関せずと知らん顔を決め込んでなにを食べようかメニューを見ていたけれど、不意にふたりの声が耳に届いた。
言っておくけど、別に聞こうと思って耳をそばだてていたわけじゃない。彼らの声が思っていた以上に大きくて、私の耳に勝手に飛び込んできたのだ。だから不可抗力、仕方がないというもの。
とにかく、話の内容はというと。
よく知らない同社のキャビンアテンダントから交際を申し込まれて不愉快極まりない──ということらしい。
その彼の話を聞いた同僚の男性は『そのキャビンアテンダントは我が社で一二を争う絶世の美女だぞ。断るなんてもったいない』と大きなため息をついた。私も同僚の男性と同じく、もったいないと大きく首を縦に振る。