俺に愛されてみないか?  ~孤高のパイロットとの偽り新婚生活は熱くて甘い~

 この日を境に同じ定食屋でときおり彼の姿を見るようになったのだけれど、いつもお決まりの仏頂面。“空の上の王子様”なんて爽やかさは、どこにも見当たらない。

 なにが彼をそんな人間にさせたのかは知らないけれど、本当の彼は爽やかさなんてものの欠片もない腹黒い人間なのは明白なのだ。
 
 それなのに告白した彼女のほうはなにを言われたところで、金城宗弥の甘い声に目はハートでとろけてしまっている。

 まあ彼の本性を知らないんだから仕方がないのだけれど。

 本当の金城宗弥を知っている私から見れば、なにを言ったところで本気で相手にしない、非情としか言いようのない冷徹な人。
 
 私はこんなシーンを、最近何度見たことか。何度同じことを繰り返すなのだから、開いた口が塞がらない。
 
 それなのに悪い評判なんて一度も出たことがない。それどころか、次から次へと告白してくる女性が尽きないのだから驚くしかない。
 
 どうして、そんな現象が起きるんだろう……。
 
 勇気を出して告白をしたというのに優しい言葉ひとつもかけられず相手にもされなかった女性たち全員が、『冷たい態度の彼も素敵だった』とか『全員に断るのも、ひとりの女性に決めない彼の優しさ。そんなところも推せる』なんてさらに人気上昇だから、“あばたもえくぼ”とはよく言ったものだ。





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