おかえりが聞こえる病室
先生は少しだけ間を空けてから話し始める。

「亜美ちゃん。」

「先生ね、おうちに帰してあげたい。」

「本当にそう思ってる。」

亜美が顔を上げる。

「でもね。」

「今帰ると、またもっと苦しくなってしまうかもしれない。」

「だから今日は、病院で体を休ませよう。」

「元気になったら、おうちに帰ろう。」

その説明は短かった。

でも、子どもにも分かるように丁寧だった。

亜美は涙をこらえながら、小さく頷く。

「……うん。」

先生が部屋を出ると、救急外来の看護師が笑顔で入ってきた。

「病棟の準備をしていますね。」

「もう少ししたら、お部屋へご案内します。」

ママは頭を下げた。

「よろしくお願いします。」
< 19 / 50 >

この作品をシェア

pagetop