おかえりが聞こえる病室
病室を出る前。

莉奈はナースコールのボタンをもう一度指差した。

「亜美ちゃん。」

「約束。」

「苦しくなったら。」

「眠れなくなったら。」

「寂しくなったら。」

「このボタン、押してね。」

亜美は赤いボタンを見つめる。

「……でも。」

「よぶと、いそがしい?」

莉奈は少しだけ目を丸くした。

そして、優しく笑う。

「忙しくても行くよ。」

「それが看護師だから。」

「だから遠慮しなくていい。」

その言葉を聞いても、亜美はまだ半信半疑だった。

でも、その赤いボタンが、さっきより少しだけ怖くなく見えた。
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