Ironic Honey
 毎日、面会時間が可能になった時、千織はやってくる。羽聖は母子同室になり、今は私の病室にいる。

 千織は羽聖を抱き、羽聖は腕の中で手を動かしている。陽の光に当たっている二人は、柔らかい雰囲気を纏っていた。


「羽聖、見てみろ。今日はいい天気だぞ」


 そう言いながら窓の外を指差し、話しかけている。羽聖は当然まだ言葉を理解などしていなくて、視線も空を見ているわけではない。

 羽聖はよく眠る子で、今もうとうと。ミルクを飲んで、少し手を動かしたら寝る。排泄をしたらすぐ寝る。大体二十時間ほど寝る。

 そのためほぼ寝顔しか見られないけれど、私もおかげでちょこちょことは睡眠がとれている。ただし前みたいにまとまった睡眠をとれているわけではないので辛い。

 看護師は気軽に預けてください、とは言ってくれるものの、今後は誰かに簡単に預けたりは出来ない分、自分で見なければという気持ちが強くある。


「今の間に少し寝ておいてもいいぞ。また授乳の時間が来たら声をかける」


 千織の言葉に素直に甘え「そうさせてもらおうかな」と言って、ベッドに横たわる。


「おやすみ」

「おやすみ」


 そう挨拶を交わすと、目を瞑る。

 千織が羽聖に話す声を聴きながら、徐々に眠りのそこへと落ちていった。
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