Ironic Honey
 その日の夜中も羽聖の夜泣きは長く続いた。授乳でもなく、おむつでもなく、何で泣いているのかもわからない。暑いのかと思い、おくるみから手を出させてみたり、抱き上げて歩いてみたりもしたけれど、長い間の時間泣き続けていた。

 落ち着いたとしても、一時間もしないうちに起きてきては、授乳の時間になる。自分の睡眠はとれないまま、また朝まで過ごす。

 昼の時間は一瞬なのに、今ではこの夜の時間が最も長く感じた。

 朝になると、看護師の顔を見て安堵する日々が続き、退院した後の不安がよぎった。千織は育休を取ってくれると言っていたけれど、完全に育児に全時間を使うことはできないと思っている。そのために在宅にするのだから、夜は寝てもらわなければならない。

 母だって、昼は来てくれるとは言え、夜は一人。不安は大きい。先のことに頭を悩まされ、涙を流すことは何度もあったけど、最近ではふとしたタイミングで涙がこぼれることが増えた。

 羽聖が静かになって、ご飯を食べている間。抱っこしながらテレビをぼーっと眺めている時間など、そんなふとした瞬間。何かを不安に思っていたり、悲しいことを感じているわけじゃない。

 ただただ一人で何かをする時、涙がこぼれた。
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