Ironic Honey
しばらく車に乗っていると、着いた先は私と千織が初めてしっかりと話したカフェだった。あの日ここから始まったのをよく覚えている。
ここで妊娠をカミングアウトし、千織はここで私にプロポーズをした。あの時は、お互いに愛もない状況から始まり、淡々と事務的に話し合いをして、不安で不安で仕方なかった。
千織は私の手を引くと、店員にお好きな場所へと案内され、迷うことなくあの日と同じ席を選んだ。「予約している」とそれだけ告げて。
私はその席の椅子を引かれ、おとなしくエスコートに従う。私が座ったのを確認した後、千織も私の前に座った。
昼ごはん時に出てきたけれど、あまり食べるような気にもならない。羽聖のことが気になって、正直食事どころでもない。
せっかく千織と二人きりのデートなのに、これじゃ彼に失礼だわ。
そう思ってはいるけれど、全く頭は切り替わらない。
千織はそんな私を見てくすっと笑うと「コーヒーだけにするか? ノンカフェイン」と問いかけてきた。
「え?」
「食欲ない時に無理に食べる必要はない。正直、俺もそんなに腹は減っていないから、お茶だけにしてゆっくり話そう」
そう言って、店員を呼び出し、飲み物を二つ注文した。
彼の観察眼には本当に毎度驚かされる。それだけじゃなくて、私に気を遣わせないような言葉選びができるところも。
ここで妊娠をカミングアウトし、千織はここで私にプロポーズをした。あの時は、お互いに愛もない状況から始まり、淡々と事務的に話し合いをして、不安で不安で仕方なかった。
千織は私の手を引くと、店員にお好きな場所へと案内され、迷うことなくあの日と同じ席を選んだ。「予約している」とそれだけ告げて。
私はその席の椅子を引かれ、おとなしくエスコートに従う。私が座ったのを確認した後、千織も私の前に座った。
昼ごはん時に出てきたけれど、あまり食べるような気にもならない。羽聖のことが気になって、正直食事どころでもない。
せっかく千織と二人きりのデートなのに、これじゃ彼に失礼だわ。
そう思ってはいるけれど、全く頭は切り替わらない。
千織はそんな私を見てくすっと笑うと「コーヒーだけにするか? ノンカフェイン」と問いかけてきた。
「え?」
「食欲ない時に無理に食べる必要はない。正直、俺もそんなに腹は減っていないから、お茶だけにしてゆっくり話そう」
そう言って、店員を呼び出し、飲み物を二つ注文した。
彼の観察眼には本当に毎度驚かされる。それだけじゃなくて、私に気を遣わせないような言葉選びができるところも。