Ironic Honey
 翌日、仕事終わりに話に向かう。

 待ち合わせ場所は、駅近くにあるカフェ。店内を見まわすも、まだ彼は来ていないようで、端の席を取り、先にアイスティーを頼んだ。

 そわそわとして落ち着かない。グラスを持つ手が震える。ストローに口付けようとしていたのをやめ、グラスをコースターの上に置く。

 どんな話し合いになるか、私も想像がつかない。

 待っていると、入り口の方にスーツを着た背の高い男性が見えた。辺りを見渡し、こちらを見つけるとこちらに歩いてきて、そのついでに店員にコーヒーを頼んでいる。

 こちらまで近寄ると「お待たせしました」と言いながら前に座る。まずはすっぽかさずにここに来てくれたことに安堵した。来てくれないんじゃないかとさえ思ったから。


「お話、というのは、やっぱり?」

「…はい。病院での検査はまだですが、キットでの検査は…」

「なるほど。まずはこんなことになって、本当に申し訳ない」


 そう頭を下げる千織さんに「やめてください」と首を横に振る。こうなったのは彼の責任だけではない。あの日酔って誘った私にも大いに責任がある。

 謝ってほしくてここに呼んだわけでも、罪悪感を植え付けたくてここに呼んだわけでもない。
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