Ironic Honey
「わかりました。ぜひ、お願いします」

「よかった。それと、今あまり無理できない状況でしょうし、引っ越してきた方がいいと思うんです」

「ひ、引っ越し?」

「はい。別々に、ではなく、一緒に暮らしましょう」


 話が急に進みすぎて頭痛がしてきた。この人、本当に変な人。

 私が軽く溜息を吐くと、千織さんは首を傾げている。


「何か変なこと言いましたでしょうか?」

「いや…、まあ、いずれはそうなる話なのでしょうけど、急すぎて…」

「こういう話は早い方がいいでしょ。俺としても身体や体調のことは心配ですし」

「そう、ですよね」


 言っていることは正しい。ただ、淡々と話すから、この人には不安などはないのだろうか。ほとんど何も知らない他人と暮らすこと、私ならかなり腰が引ける所だ。

 仲のいい友人とも、適度な期間が空いて会うからいいのであって、一緒に住んでいて毎日会うと考えると、億劫になる。


「ただ、念のため安定期を迎えてからでもいいでしょうか。何かあると怖いので」

「わかりました。そうしましょう」


 あの日の様な会話じゃない。義務的なそんな会話。
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