Ironic Honey
 まあ、こんな状況なので、恋愛はしばらくいいかなと思っていた時だった。

 隣の男性は今度反対側の女性に声を掛けられ、うんざりしていた表情をしていた。

 可哀想に。一人でゆっくり飲みたくて来ただろうに、何度も何度も声を掛けられて。一人でバーに来る端正な顔立ちをした男性は、ゆっくりと一人で飲むこともできないらしい。

 そう同情していると、突然肩を抱き寄せられ耳元で心地のいい低い声で「恋人がいますので」なんて、言葉が聞こえてきた。

 それに少し目を見開き、男性を見ると、こちらに縋るような目を向けてくるものだから、仕方なく相手の女性に苦笑いすると、思い切りにらみつけられた。


(おー、怖)


 そう思っていると、諦めたのか、プライドが高そうな女性は、会計を済ませそそくさとバーを出て行った。


「すみません。突然こんなことをして」

「いえ、構いませんよ。独り身ですし、お気になさらず」

「あの、代わりに一杯奢らせてください」

「いいのに。でも、せっかくなんで。JJで」


 もらえるものはありがたくもらっておこうと、店員にありがたくジャスミンハイを注文した。

 思わぬ関わりが出来てしまい、私の完全に傍からイケメンを眺める作戦が終わってしまった。


「普段からこんな風に女性に声を掛けられるんです?」

「いや、あまりこんな風に一人では飲みに来ないかな。今日は、なんとなく行ってみようと思ったらすごくて…」


 そう言いながら顔を顰めているのが何だか可愛らしかった。遊び慣れていない感じも私からしたらポイントが高い。
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