Ironic Honey
「じゃあ、誕生日はいつ?」

「十二月八日。君は?」

「四月二十日」

「覚えとく」


 冬生まれってイメージがなんとなくある。どの季節に生まれたから、どんな人格などが決まるわけではまったくもってないけれど、冬が似合う人だとは思っていた。


「スーツの会社は、継いだの?」

「父がいくつか事業をやっていて、そのうちの一つを譲り受けた。母は、アパレル関係の会社」

「へぇ、アパレル関係。格好いいわね。両親揃って、社長なんだ?」

「元々働くのが好きな人達だから。俺はよく会社に連れていかれて、働いてるところ見てた」


 余計に私の存在はもしかしたら受け入れられないのではないかと思えてきた。私はただただ雇われで自由気ままに働いてきただけの、何も持たない女だ。そんな家系で歓迎されるのだろうか。

 千織は私の様子に「気にしなくていい」と声をかけた。


「変人だけど、悪い人たちじゃない。後、思っているより陽気な人達だから」

「陽気? あなたを見てるとそう思えないけど」

「両親が明るすぎて、俺は吸われた」

「何それ」


 千織の冗談に思わず笑ってしまう。私が笑うのを見て千織も口元に笑みを浮かべていた。
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