Ironic Honey
「聖菜さんは?」

私は、ただのストレス発散です。お酒好きなんで」

「なるほど。ここにはよく?」


 千織さんの方を見ると随分真っ直ぐにこちらを見つめてくる。ただの質問なのに、私にいかにも興味がありますみたいな顔をしちゃって。

 私はふと微笑むと「まあ」と答えた。はっきりとした答えは言わない。あまり関係がないからだ。この人に私が頻繁にここに来るか来ないかなんて。

 千織さんは小さく「そうですか」と零すと、手元の氷が解けたハイボールに視線を落とす。グラスには水滴がついており、あまり進んでいない。


「…飲まないんですか?」

「…そこまで強くはないんです。でも、多少飲めるようになりたくて」


 真面目。それでいて、変な人。

 こんな男性は身近にはいなかったから、どうしても興味がそそられる。


「今晩はお付き合いしますよ」

「…いいんですか? 俺となんか飲んでも退屈じゃ」

「いいえ。退屈になったら帰りますから」

「正直な人ですね」


 そう言って軽く笑いを零す彼に、私も軽く笑い返し、こつんと小さくグラスをぶつけた。

 いつも面白いと感じるのは、こういう変な男。
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