Ironic Honey
「ちょっと!千織くんが結婚って本当!?」


 そういって入ってきた彼女はなんだか怒っている。服装的にかなり若そうだ。足を見せるミニスカートに、短めのシャツ。へそも出ていて、その恰好はさすがに若くないと出来ないだろうと思う。

 私は目をぱちぱちとしてそちらを見ていると、お母様は「あんちゃん…」とつぶやいていた。

 あまりにも大きな音を立ててドアが開いたものだから、庭にいた千織とお父様が中に入ってくる。


「何してる? あんず」


 千織は顔を顰めてそう問いかけるも、あんずと呼ばれた彼女は千織を睨みつけ、お母様の方に矛先が向いた。


「なんで!? おばさん、私に千織くんとお見合いさせてくれるって言ったじゃん!」

「それは後、数年後、千織くんに結婚の意思がなかったらって言ったでしょう?」


 今から数年って、それ全くお見合いさせる気なかったんじゃ。そう思いはしたけれど、こんなところで口をはさむような野暮なことはしない。


「ずっと待ってたのに何で!? 相手おばさんだし、私のがいいじゃん! 子供ができたからって何なの!?」


 完全に頭に血が上っている。私は小娘の言葉に反応するほど怒ってもいなかったのだけど、千織は「やめろ」と底から出るような聞いたこともない低い声で言い放つ。
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