Ironic Honey
 初めて千織が私の家にいる。変な感じだ。私の家に千織がいるのは。1LDKが狭く感じるほどの違和感。


「綺麗にしてるな」

「まあ。何か飲む?」

「お構いなく」


 人の部屋を見渡して、いろいろなものを見ている。変なものは置いていないと思うけど、何か面白いものでもあっただろうか。

 あまり部屋の中を見られるのは落ち着かない。この空間には私の趣味嗜好が詰まっている。それを知られるのは、変なものはなくても自分の内側を覗かれているようで、羞恥心が湧き上がってくるから。


「ちょっと、あまりジロジロ見ないで」


 キッチンからそう注意するとクスクスと千織の笑い声が聞こえる。


「どうして?」

「恥ずかしいからよ。DVDとか、漫画、小説もあると思うけど、こういうのを見るんだって探られるのは恥ずかしい」

「俺は知りたいよ。君がどんなものを見るのか」


 そういいながらも大人しくソファにようやく座った。そんなに小さいソファではないはずなのに、彼が座ると小さく見える。

 彼は時折自分の家でソファにごろんと寝転がり、長い足を放り出しているが、私のソファだと膝から下、そして頭は手すりのところに乗り、間違いなく出ると思う。

 生憎、うちのソファは長身の男が寝転がる様にとは考えて購入していない。
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