Ironic Honey
「お父さん、いいんじゃないの? 聖菜が決めたことだし、もう子供でもないのよ。子離れしないと…」

「……俺は、間違ってると思う」

「意地になってるだけよ。聖菜を取られた気になってさみしいんでしょ。昔、聖菜はパパっ子だったから」


 確かに、土日にしか一緒に過ごせない父に、幼少期はひどく甘えていたと思う。常に一緒にいて愛情を注いでくれる母よりも、父の愛情を強く望んでいた。

 さみしかったのだと思う。過ごす時間が限られているから。だから私はそんな父との時間を求めていたし、父もその分土日には余すことなく愛情を与えてくれ、平日だって私が寝た後にでも、顔を見に来てくれていた。

 そんな懐かしい話に思わず笑みをこぼす。


「…幸せになってほしいんだよ。壁にもぶつかることなく、ごくごく普通に」

「聖菜が困ったら助けてあげればいいでしょ」


 母の説得もあり、父は結局、千織と私の関係を認めてくれた。

 自分の無責任な行動一つで大切な人と縁ができた。でも、その反対に、大事な人に多くの心配をかけてしまったことを忘れてはいけない。
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