Ironic Honey
「それと、次の病院はいつ?」

「二週間後」

「土曜日?」

「ええ、そうだけど」

「そうか、なら俺も行く」

「わかった」


 こんな風に着いてくることも別に珍しくない。むしろ、行けないという方が珍しい。

 子供の事と奥さんを大事にする男性という意味では、会社では千織の評価は高いらしく、褒められたりするらしい。

 千織は気に食わぬ顔で、「なんでこんなことが褒められるんだ?」と首を傾げて、ボソッと零していた。

 私から言わせれば、そういう所だよと思う。

 確かにそのくらい大事にしてくれるのが当たり前だという男の人で溢れていればいい。だけど、現実はそうもいかない。

 妊婦健診のために休みを取って時間を空けてくれる男性は少ないし、もっと協力的ではない旦那の方がまだ多い。

 そのくせ、産まれたら赤ちゃん返りする旦那までいるとのことだ。一瞬、捨てたくなる気持ちも分からなくはない。

 千織が「俺を優先しろよ」とか言い出したらゾッとするが、彼にはその心配は無さそうだ。

 むしろ、家事も育児も積極的にやってくれそう。


「次あたりには性別分かるのか?」

「早ければね。まだまだ分からないことも多いみたいよ。男の子だと多少わかりやすいみたいだけど」

「なるほどな」


 そう話しながら、駐車場に着くと、相変わらず千織は助手席のドアを開けてくれ、私は「ありがとう」と言って車に乗り込む。

 これだけはずっと変わらないけど、恐らく子供ができたらこうも行かない。

 だから今はこうして、お姫様扱いを受けていようと思う。

 …お姫様、なんて柄でもないけどね。
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