Ironic Honey
 ある日の平日の昼。外回りのない怜奈とランチに出た。

 彼女は基本営業として出回っているので、昼食を共に食べられる時はレアなのである。


「なんか、久々な気するわね」

「しないわよ! 毎日あんたのおっきくなってくお腹見てるわ!」


 怜奈のツッコミに思わず笑いをこぼし、ノンカフェインのカフェラテを口にする。

 確かにぽっこりとお腹は出てきた。そろそろ、スーツではなくてゆったりとした白いシャツに、黒かネイビーのワンピースを許可されている。

 靴も当然私はヒールではなくて、低めのパンプスを履いていたのだけど、ワンピースにする時はスニーカーにするつもりだ。


「どうなの? 社長さんは」

「…信じられないくらい優しいし、愛情深い人」

「ふーん?」

「何か、まだ同棲もスタートしてないから、分からないところもあるかもしれないけど」

「なるほどね。これから結婚が地獄だと言われる理由がわかるわけね」

「ちょっと、上手くいくかもしれないでしょうが」


 余計な事を言う怜奈に、強く言い返すと彼女は笑っている。

 笑い事では無い。人の家庭をなんだと思ってるんだ。
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