Ironic Honey
「里帰りはいつからする?」

「…もし、千織が嫌じゃなかったら通いでうちの母に来てもらおうかと思ってて」

「初めての子育てが心配だから、里帰りしたいって言ってなかった?」

「最初はそのつもりだったんだけど、千織がせっかく育休取って、厳しい時は在宅で仕事するって言ってくれてるのに、私が実家に帰って羽聖の顔を見る時間が減るのはどうかなと思って。だから、この家に母に通いで来てもらうのはどうかな?」


 千織は私の考えを聞いて、少し心配そうな表情をしていた。それから言葉を選ぶように、「俺はうれしいけど…」と言葉をつづけた。


「お義母さんは、大丈夫か? あれなら俺が迎えに行って…、いや、でも君を一人にするのもだな」

「大丈夫! お母さんも喜んでたし、それに、車の免許持っているから気にしないでって言ってた」

「そうか。いろいろと申し訳ないな。今度お礼に行かないと」


 そう言っている千織に苦笑いする。千織はうちの実家に毎月旬の果物や有名なデザートを送り付けているのだ。母や父はそれを毎月呆然としながら受け取っているそう。


「大事にしてくれているのはうれしいけど、毎月しなくてもいいのに…」


 母は電話先でボヤいてその数秒後「わ! すごいチーズケーキね!?」とワントーン上がった声を出し喜んでいた。なんだかんだ喜んでいる。
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