ねえ、はやく降参してよ。 ――同じ苗字になっても、まだ足りない。甘くて焦れったい心理戦を続ける夫婦。
「私だって……会いたかったよ。だから、ここまで来たんだし」
繋いだ手を少しだけ引き寄せ、応戦してみる。
「でもまあ、結局、俺が上でしょ」
平然とそう返された。
やっぱりハルは、わかったつもりで全然わかっていない。
「ふ。実は、私のほうが上なんだよ」
「何言ってんの? 俺に決まってんじゃん」
「ちがうっ。私!」
目が合うと同時に、小さく吹き出した。
「なんか、バトルの方向性、変わってるし」
触れ合った肩を、同じリズムで揺らしたあと。
ハルが囁いてきた。
「マナのほうが上って言うなら、証明して」
「証明?」
見やると、挑戦的な瞳がこちらを射抜いていた。
その眼差しで、何を求めているのか悟る。