ねえ、はやく降参してよ。 ――同じ苗字になっても、まだ足りない。甘くて焦れったい心理戦を続ける夫婦。

「……え?」

 予期せぬ言葉。

 光の粒を反射するその瞳は、私の表面的な強がりの奥にある何かを、見抜いているように思えた。

「あ……うーんと。ただ、暗い気持ちにさせたくないっていうか……気を遣ってほしくなかっただけだよ」

 どうしたんだろう、私。
 イルミネーションの光に、心の内側まで鮮明に照らされてしまっているのか、笑顔が上手く作れない。


「笑うなよ」


 見つめ合ったまま、ハルは続けた。


「隠さないで」

「…………」

「全部、知りたい」

「…………」


 この子は一体、何を言っているんだろう。

 戸惑いと、胸の奥から突き上げる鼓動。
 その強い視線に、身動きがとれなくなった。

 立ち尽くしていると、ハルは手を伸ばし、指先をそっと絡めてきた。

 映画館のときと、同じ繋ぎ方。
 けれど、どこかが決定的に違っていた。

 外気に晒され冷えていたはずなのに、じんわりと包み込まれていく。

「ハルって、私のこと、どう思ってるの……」

 衝動的に聞いてしまった。
 だってハルが、私の心を掻き乱すようなことばかり言うから――。
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