【改稿版】彼女はエリート外交官の求愛から逃れられない
 私は中学から部活動でテニスを始めて、高校でもやっていたのでここは憧れの場所だ。

 さすがにツアーを見に来るのは無理なので、今日はその聖地だけを満喫する。

 これからウインブルドン・ローン・テニス博物館のツアーに参加する。

 帽子をかぶっていたのだが、室内に入るので取った。それで長い黒髪をまとめてアップにした。

 首筋が出るだけで涼しく感じる。

 結構大勢の観光客が一度に参加する。

 有名選手のエピソードやたくさんの写真、テニスグッズが展示してある。

 説明してくださる方の話も裏話が多くてとても面白い。

 ただ、英語なのでいまいちわからないところも多くて、リスニングの難しさを痛感した。

 現在活躍中の有名選手のパネル写真と記念撮影できるような場所があった。

 大ファンの選手だったので帰り際に順番を待って自撮りしようとしたら、次のところで待っていた金髪の若い外人男性に声をかけられた。

『撮ってあげるよ』

『ありがとう』

『私もあなたを撮ってあげましょうか?』

『いや、この方がいい。ほら、ね』

 彼は私の隣に立って、あっという間に私とのツーショットを自撮りしてしまった。

 呆気にとられていると横でウインクしている。

『君はひとり?日本人だろう?』

『はい、日本人です。あなたはどちらから?』

『僕はロスから来たんだ。僕も一人旅なんだけど、よかったらこの後一緒にこの周辺を回らない?』

『はい、いいえ、あ……』

 イエスと答える癖がついていて、つい最初に言ってしまった。

 すると、嬉しそうに腕を取られた。びっくりして立ち止まる。

『いいえ、行きたくありません』

 周りを見ると、数人が私達を見ている。

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