【改稿版】彼女はエリート外交官の求愛から逃れられない
「琴乃。じゃあ居残りの学生はどうして男子ばかりなんだ。女子がひとりもいないなんておかしいと思わないのか」

「それは、女子は年頃だし、遅くならないうちに帰るからしょうがないのよ」

「だから、危ないと言ってるんだ!」

「全くだ!」

 ふたりで頷いてこちらをすごい目で見ている。なんなの、このふたり……もう……そんなことを言っていたら何もできない。

「学生といっても年齢はばらばら、皆成人していて力もある。蔵原も何度か冗談交じりに口説かれたって話してたじゃないか」

「それは、だから……佐田君!彼に余計なことを言わないでよ!」

 確かに、最初のうちはそういうこともあるにはあった。最近は上手なかわし方を大分覚えた。

「琴乃……君は無防備すぎる……」

「そうだぞ。蔵原は彩菜より天然と言うか、気づいてない。わかってないから余計危ないと思っていた」

「ひどい、佐田君」

 玲さんがじいっと私を見ている。私は諦めて話を変えた。

「それより、佐田君は彩菜さんを一人にして大丈夫なの?彼女の体調はどう?」

「実はそのことで二人に話があったんだ。彩菜が二人目を妊娠してね」

「もしかしたらと思っていたけど、やはりそうだったのね。おめでとう、佐田君。よかったわね」

「ああ、ありがとう。ただ、つわりもはじまったみたいなので、授業はそろそろ代講を入れてやめる方向で相談してきた。ちょうど来週で今期が終わるからね。君らの引っ越しも来週だよな?」

 玲さんが佐田君に言った。

「佐田さん。本当に琴乃と乃蒼がお世話になりました」

 私も頭を下げた。

「佐田君と彩菜さんがいなかったら今頃私達どうなっていたか……言葉では言い表せないくらい感謝してる。本当にありがとう」

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