【改稿版】彼女はエリート外交官の求愛から逃れられない
「彼女は元々蓮見商事の関連会社に勤務していて英語は堪能です。しかも最近まで予備校の英語講師をしていて、SNSに模擬授業も流れています。それで彼女を知っているという人がこの会場にもいたくらいです。野原さんはご存じなかったようですね」

「そ、そうだったのか。いや、知らなかった。これは失礼……じゃあ、ね」

 そそくさといなくなった。

 玲さんは私を見てにっこりと笑った。

「あの、玲さんごめんなさい、あなたの上司だったのにやりすぎちゃった。悔しくてつい……」

「やりすぎどころか、それでよかったんだ。君のお陰ですっきりした!ありがとう」

 すると、後ろからパチパチと拍手の音が聞こえた。振り向くとそこには女性上司の木下さんがいた。

「木下さん、聞いていたんですか?」

「やるわね、あなた」

「え?!」

「あなたなら外交官の妻にぴったりよ。海外では言うべき時にきちんと自分の意見が言えないとダメ。日本人は自己主張が苦手な人も多いでしょう」

「ほら、琴乃。僕の言った通りだっただろう?」

「あなたはあのゴシップで迷惑をこうむったうえ、少し意地悪な質問をされたんですもの、あれくらいやり返して当然よ。今からの女性はこうじゃなくっちゃね。私の部下にしたいくらいだわ」

「ありがとうございます。是非、部下にしてください」

「そうね。夫婦もろとも部下にしてあげる」

 二人で声を立てて笑った。

「藤堂。これからは家族ぐるみで親しくお付き合いさせてもらうわ」

「はい。妻と娘共々、どうぞよろしくお願いします」

「そうよ、可愛いお嬢さんがいるそうね。結婚式をしてくれたら会えるのに、いつやるつもりなの?」

「問題はそこですよ。僕の最近の状態を知っていてそんなことを言うんですか?是非とも、結婚式のために僕の仕事の調整をお願いします」

「こら、調子に乗りすぎよ」

 木下さんはにっこりと笑っていなくなった。

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