【改稿版】彼女はエリート外交官の求愛から逃れられない
「そう。あっちはブルーだったからね。琴乃、今日は化粧してるだろ?」

「え、あ、うん……」

「どこか出かけた?」

「あ、ちょっと買い物とか、その辺に……」

 彼にプレゼントを買いたくて出かけていた。来月は彼の誕生日だ。直接手渡すには今しかない。

「ふーん。指輪してるだろうね?」

「あ、はい……」

 手を見せた。

「どうして右手?まさか、普段も右手にしてるのか?」

「それはそうよ。左手になんてしません」

「琴乃」

 コン、コン。

『お兄ちゃん、入るよ』

 後ろからノックの音と女の子の声がした。

「おい、電話中だ。入るな」

『もしかして、彼女?会いたいから入る』

「おい、ふざけんな」

 すると、画面にショートカットの猫目の女性が突然映り込んだ。もしかして、妹さん?

「はじめましてー、妹の里香です」

 凄く元気がいい。彼は頭を抑えて下を向いている。

「あ、あの、初めまして……蔵原……琴乃です」

「琴乃さんって言うの?古風な名前だね。お兄ちゃんってば、本当に彼女がいたんだ。嘘だと思っていたからびっくりです」

 あけすけに話す。ちょっと驚いてしまう。すると今度はまた違う女性の声がした。

『玲ー、ちょっと手を貸してー!』

「お兄ちゃん、お母さん呼んでるよ」

「なんなんだよ、みんなして邪魔しやがって……琴乃ごめん。あとでまた電話する」

「はい」

「あ、お兄ちゃん、切らないで。私が代わりに琴乃さんと話すから、とっととお母さんの所へ行って!」

「は?」「え?」

『玲ってば、早くして!』

 お母様の声が怒りを含んだ。

「母さんわかったから!今行くよ!……琴乃ごめん。切っていいぞ」

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