【改稿版】彼女はエリート外交官の求愛から逃れられない
 里香さんがしっしっと玲さんを追い払った。正面に里香さんが座る。

「琴乃さん、お兄ちゃんとはどのくらい付き合っているんですか?」

「イギリスに旅行へ行った九月からです」

「お仕事は何してるんですか?」

「貿易事務です」

「普通の会社ですか?あ、ちなみに私は公務員です」

「私は商社の子会社なんです」

「ふーん。えっと、お兄ちゃんはイギリス暮らしだし、ほとんど会えなくて寂しくないんですか?」

「寂しいですけど、ほとんど毎日連絡をくれます」

「時差があるのに?ふーん、仲いいんですね。それとも、会えないと結局相手は何してるのか隠していてもわかんないから、喧嘩しないのかもしれないですよね」

「あの……」

「そうか、会わないのもうまくいかせる手なのかもしれない。引いてみる、か……」

「はあ……?」

 何がいいたいの?よくわからない。もしかして私達を喧嘩させたいのかな?

「でも、だからってあんまり油断しないほうがいいと思いますよ」

「え?」

「ここだけの話ですけど、女優の原口日奈さんは元カノです。実は昔事務所から交際を反対されて別れたんですけど、今は事務所からOKが出て、日奈さんが言うにはお兄ちゃんの上司も交際を応援してるらしいです」

「原口、日奈さん……」

「お兄ちゃんには話したこと内緒にしてくださいね。でも、今のところはお兄ちゃん、琴乃さん一筋らしいから大丈夫かもしれないですけど……日奈さん本気らしいから念のため教えてあげました」

 そういえば、ハロッズで会った彼の上司が確か日奈さんって言っていた。

 原口日奈……最近海外の映画に出たり、美人で有名な女優さんだ。

 元カノだったの?私は驚いて何も言えなかった。

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