【改稿版】彼女はエリート外交官の求愛から逃れられない
 彼は問い詰めないでくれている。でも、おかしいと思っているだろう。

 日奈さんと妹の里香さんは未だに連絡を取り合う仲だ。

 玲さんと日奈さんは事務所に別れさせられただけで、ご家族も知った仲ならいくらでも復縁できる関係なのだろう。

 じゃあ、私は……彼のくれた指輪を見つめながら、深いため息をついた。

 玲さんは母に会ったとき、違和感を感じたはずだ。

 私はボーイフレンドもいないし、母は私の知り合いという彼が現れて、相当驚いたはずだ。

 きっと不審者扱いして、色々と失礼なことを彼に質問しただろう。

 彼のことだから、母の様子を見てわざと琴乃との関係を伏せてくれたのに違いない。

 琴乃は自分達の将来にまるで光が見えないことを、玲の電話で再認識した。

 電話が終わったんだろう。シャワーの音が聞こえてきた。

 琴乃は着替え始めた。

 玲との出会いから交際まで、まるで夢のようだった。夢を現実にできないのは、琴乃の方に問題がある。

 彼の気持ちを疑ったことはなかったが、琴乃はこのままでは彼を不幸にしてしまうかもしれないと考え始めた。
 
「あれ、琴乃?もう着替えたのか?シャワーを浴びてきたら?」

 シャワーを浴びた玲はバスローブで入ってきた。彼の壮絶な色気に琴乃はとっさに目を反らした。

 先ほどの電話のこともあり、琴乃は早口でごまかした。

「お腹もすいたし、早く初詣に行かないと遅くなってしまうので……」

 玲は琴乃の腕を引くと胸の中に抱き寄せた。琴乃はいたたまれなくてその中から逃げようとした。

「私、シャワーを浴びてないから……」

 すると、ぎゅっと彼の腕が琴乃を抱きしめた。シャボンの香りと彼の体温が琴乃を包み込んだ。

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