【改稿版】彼女はエリート外交官の求愛から逃れられない
「着てくれる?」

「もちろんだよ。ありがとう。僕のことよく見てるんだね」

「そんなこともない。気に入ってくれるか心配だったの」

「気に入るよ。お互い服を贈りあってるな」

「玲さんからは指輪も、お洋服も、それ以外ももらってる。結局、何も返せてない」

「将来沢山返してもらうから覚悟して。そう遠くないと思う」

「え?」

「早ければ来年戻るかもしれないんだ」

「そうなの?」

「ああ、予定より早まりそうなんだ」

「どうしよう……」

「どうしようってなんだ?帰ってきたらまずいのか?」

「あ、その、お母さんに玲さんとのことはまだ言っていないから……。弦也には言ったけど……」

「弟さんか。会うのが楽しみだ。男兄弟欲しかったんだ」

 まだ結婚するわけじゃないのに……。

「琴乃。お母さんのことだけど、きちんとおつき合いしていると挨拶しようか?」

 私は勢いよく首を振った。

「ううん。ごめんなさい。玲さんが日本へ戻ってからでいいわ」

 彼は私の顔をじっと見ていた。

「琴乃。何かあれば言ってほしい」

 彼はきっと母に黙っている理由が何かあるんだろうと気づいているはずだ。

 でも、無理強いをしないでくれる。彼の優しさに琴乃はまた逃げてしまった。

「ありがとう、玲さん。ごめんなさい……」

「琴乃。うちの両親が君に会いたがっているんだ。少しだけ画面越しに顔を見せてやってくれないか」

「えー!」
 
 彼は自宅へ電話して、お父様と携帯で連絡を取った。

 すると、いつの間にかビデオ通話にしたんだろう、彼に似たお母様と、優しい瞳のお父様が現れた。

 強引すぎる。びっくりしてしまった。

『父さん、母さん。彼女が琴乃だよ』

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