【改稿版】彼女はエリート外交官の求愛から逃れられない
「じゃあ、僕は君に必要不可欠というわけだな」

「そうかもしれない……でも……」

 彼の胸に顔をつけた。言葉を飲み込んだ。

 でも、このままだといつまでこうしていられるかわからない。夢が覚める日まで大好きなあなたとこのままでいたい。

 その日別れたのが最後になった。夢の覚める日は想像以上に近かったのだ。

 * * *

 玲さんからメールが来ていた。

「琴乃、僕はフランスで行われる重要な国際会議に出ることとなった。明日からしばらく連絡が取れないかもしれない」

「わかりました」

 外交は機密事項も多く、情報が漏れないようにしていると聞いていた。

 仕事中に佳純から電話が来た。今日は佳純が早番で私は遅番。

 一緒に昼休みをとれないので、きっと今頃社食に彼女はいる。

「ちょっと、琴乃。急いで芸能ニュースを見て!」

「え?なに、どうしたの?」

「ねえ、女優の原口日奈がカンヌで賞を獲ったらしいんだけど、インタビューで昔から親しい外交官の男性が海外での活動の相談に乗ってくれて支えてくれたとか言ってるよ。大丈夫なの、日奈?」

「え?」

「写真が載ってるけど……藤堂さんなんじゃないの?」

 ガタン、私は音を立てて立ち上がった。急いで携帯をもったまま、ロッカー室へ入った。

『原口日奈、元交際相手と結婚秒読みか』

 書かれている文章と目のあたりにモザイクのかかった写真を見て息をのんだ。髪型と立ち姿だけでわかる。

 隣の男性は間違いなく、玲さんだ。これは空港?

 彼の腕に手を回して親し気に彼の顔を見ながら彼女が話している。

 記事には元カレは海外赴任中の外交官と書かれている。

「うそ……」

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