初恋を拗らせたホテル御曹司は癒やしの女医にだけ激愛本能を滾らせる

 あからさまに零の印象を聞き出そうとする紫帆を「おい!」と制止しようとしたものの、華麗にスルーされて失敗に終わった。

 不思議そうに小首を傾げる彼女に、紫帆は質問を重ねていく。

「もっさりした髪で顔も隠れてるし、ダサい眼鏡かけて陰気そうなのに、怖くないの?」

 零が居心地悪さを覚えていると、ばっと顔を上げた彼女から、想像もしなかった言葉が飛び出した。

「え? どうしてですか? 優しい人だと思いましたよ。それに、英語もペラペラですごくカッコよかったですよ。声なんか耳に心地よくて、ずっと聞いていたいって思うぐらい素敵ですよ。怖いなんて思うわけないですっ!」

 必死に話すうち感情が高ぶったのか、最後は興奮気味に捲し立てるように言い切っていた。

 零は不覚にもフリーズしてしまう。

 そればかりか、キラキラした眼差しで誉めそやされて、顔と耳が熱くてどうしようもなかった。

 もうすぐ中学生になるとはいえ、まだ小学生の彼女にかけられた言葉に、羞恥を覚えたのもある。

 だがそれだけじゃない。

 表面上(見かけ)ばかり気にして、本質に目を向けていなかった、自身の愚かさに愕然とさせられたのだ。


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