初恋を拗らせたホテル御曹司は癒やしの女医にだけ激愛本能を滾らせる
幼い頃より、祖父や父から口うるさく言われた言葉が脳裏をよぎる。
『All that glitters is not gold(光るもの必ず金ならず)』
外見がどんなに華やかで立派でも、中身が伴っているとは限らない。見た目で騙されてはいけない――という教訓だ。
シェイクスピアの『ヴェニスの商人』から由来しているらしい。
経営者として、本質を見る目を磨けという意味だと思っていたのだが、どうやらそうではなかったらしい。
経営者として相応しい人格になれるよう中身を磨け。そういう意味だったに違いない。
――それなのに、表面上しか見てくれないと嘆くばかりで、中身を磨く努力もせず、見た目を偽ることで、好奇の目から逃げていた。
(俺は、そんなことにも気づけなかったのか……)
自身の未熟さを痛感し、恥ずかしくて仕方なかった。
「私、学校で兄と比較されてばかりで。そのせいか、誰かに見られてるって思ったら、意識しすぎて、すぐ真っ赤になって、話もまともにできなくて……。だからかもしれませんけど、普通に話せて嬉しいぐらいですよ。中学にも、そういう人がいたらいいですけど……」