初恋を拗らせたホテル御曹司は癒やしの女医にだけ激愛本能を滾らせる
パーティー会場でたまたま知り合ってお互い素性も知らないからこそ、彼女は普通に話せたのだろうし、弱い部分を曝け出せたのだろう。
「大丈夫! きっといるはずよ。だって、ハルナ、めちゃくちゃいい子だし。可愛すぎて、キュンキュンするんだもん! このままギュッと抱きしめて離したくないぐらいだから、自信持ってね!」
そんな純粋な彼女が可愛くて仕方なかったのか、紫帆がいきなり抱きついて離そうとしなかったほどだ。
「あ、こら、そんな抱きついたら彼女が潰れるだろ!」
「ぐ、ぐるじいぃ」
「ほらみろ」
「あっ、ごめん。大丈夫?」
「は、はい」
「そうだ。いいものあげる、はい。不安になったときは、甘いもの食べると心が落ち着くって言うし。これでも食べてリラックスしてね?」
「わぁ! このドロップ可愛くて美味しいですよね。ありがとうございます」
当時、紫帆が気に入っていたキューブ型のドロップを差し出すと、彼女は心底嬉しそうに、ふわりと柔らかな笑みを浮かべていた。
彼女の笑顔がやけに眩しくて思わず目を眇めたほどだ。
けど、この時の零には、その理由がわからなかった。
それが何かを思い知ったのは、毎週金曜に立ち寄っていた学園の図書室で彼女を偶然見かけてからだ。