初恋を拗らせたホテル御曹司は癒やしの女医にだけ激愛本能を滾らせる


 それがきっかけとなり、心療内科医になりたいと思うようにもなった。

 赤面症で悩む彼女の助けになればいいな――そんな想いから、弁論大会のテーマにも心身症を選んだ。

 赤面症にも触れたが、彼女に届くなんて思ってもみなかった。

 なのに、図書室で本ではなく、参考書を広げて熱心に勉強に励む彼女の姿を見て、もしかして――

 もう、いても立ってもいられなくて、考えるよりも先に行動していた。

 問題集を解いている彼女の傍らには、沢渡医師の監修する著書と医学部を受験するための勉強法をまとめた参考書まであった。

 たまたまかもしれないが、届いたのかもしれない――そう思うと、嬉しくてどうしようもなかった。

 女子グループが付いてきたのは誤算だったが、おかげで彼女と話すきっかけになった。

 ポカンと固まったまま微動だにできない彼女に、零は柔和な笑みを浮かべながら、謝罪の言葉を口にした。

「勉強の邪魔してごめんね」

 驚愕した彼女は首を左右にブンブン振って、応えるのが精一杯という感じだ。

 それでも懸命に応えようとしてくれている。いきなり現れた自分なんかのために――

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