初恋を拗らせたホテル御曹司は癒やしの女医にだけ激愛本能を滾らせる
彼女がいじらしく思えて知らず笑みを零していた。
唇の前で人差し指を立てた零は、彼女を怖がらせないよう優しい声で囁いた。
「しー、少しの間だけでいいから、かくまってもらえるかな?」
彼女は驚きのあまり言葉を失いながらもコクコクと頷いてくれて、零はホッと安堵の息をつく。
しばらくして、女子グループが退室していくのを残念に思いながらも、かくまってくれた彼女に感謝の言葉を告げた。
「君のおかげで助かったよ。どうもありがとう」
「あっ……い、いえ……っ」
もしかしたら、緊張のせいで喉がつっかえて声が出せないのかもしれない。
それでも、彼女なりに一生懸命に言葉を紡ごうとしてくれている。
なんだか無性に愛おしく思えて、顔がほころんでいくのが自分でもわかった。
「お礼に、これ、あげる」
その際、彼女にそう言って差し出したのは、紫帆があげたものと同じ、可愛いパッケージに収まった、ピンクと透明な二種類のキューブ型のドロップだ。