初恋を拗らせたホテル御曹司は癒やしの女医にだけ激愛本能を滾らせる


「ええっ!? 『未経験』って、そんなバカなっ!」

「そんなに驚くことかな? 俺には許嫁がいたんだし、経験がある方がどうかと思うんだけど……」

 零は不服そうだが、許嫁とそういう経験を済ませるのが普通なのでは……

「あっ、そうか、許嫁と。そう考えるのが普通なのか」

 そのことに思い至ったらしい零が、遥奈の手を取り、真っ直ぐ向き合ってくる。

 二人は、豪奢なスイートルームのリビングダイニングにいる。上質なソファに隣り合って座っているため、膝同士を触れ合わせた体勢だ。

 急に縮まった距離に遥奈の鼓動がさらに加速する。

 零の纏うベルガモットの爽やかな香りが、遥奈を優しく包み込む。

 同時に、遥奈の耳許で零が甘く囁いた。

囁くたびに、遥奈の肩までの髪が耳許で揺れる。

「元許嫁とは形だけで、ただの幼馴染みだよ。公にしてないだけで、向こうは婚約目前だし、今はビジネス上の付き合いしかない。――初恋も含めて、俺の初めては、全部遥奈のものだよ。初めてで自信がなくて、交際を申し込めなかっただけで。遥奈への気持ちに嘘偽りはないし、生涯遥奈だけだと誓う。だから、遥奈、俺と結婚を前提に交際してほしいんだけど。駄目かな?」

 そうして、零は熱っぽい視線で見つめながら、遥奈の左手薬指に甘く口づけた。

「――っ!?」

 とんでもなく甘い囁き声と、零の醸し出す色気が凄まじくて……

 零の破壊力に瞬殺された遥奈は、真っ赤になって身悶えるしかない。

 そこに、コトッと床に何かが落ちる音が響いた。

 遥奈が足元に視線を向けると、そこには、見慣れたピンク色の可愛らしいパッケージが転がっている。

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