初恋を拗らせたホテル御曹司は癒やしの女医にだけ激愛本能を滾らせる


 お互い一糸まとわぬ姿で横になっているのだから当然だ。しかも、背後からスッポリと包み込まれて、顔の前で指を絡ませた状態だ。

 過剰に反応してしまい、頬が上気する。

 照れくささを拭えないまま、遥奈は話題を逸らした。

 容姿だけでなく、声にも魅力を感じていたと伝えたかったのだ。

 あの頃、容姿にコンプレックスを抱いていたという零に。

「あっ、でも、見た目だけじゃないですよ。パーティーで出逢った零さんの声と、入学式で一目惚れした零さんの声が、同じだったから、心に響いたんだと思います」
 
「大丈夫だよ。もう、そんなこと気にする子どもじゃないよ。今は、この容姿に生まれて良かったと思ってるぐらいだから」

 けれど、どうやらそれは無用だったらしい。

 それだけ大人になったということだ。

 ――あれからもう、十六年もの時間が経ったのか……

 ちょっぴりセンチな気分になっていると、零から予期せぬ言葉が届いた。

「この容姿のおかげで、遥奈に好きになってもらえたしね。あの頃は嫌で仕方なかったけど、遥奈に出逢えて、考え方も変わった。自分の長所として捉えられるようになったんだ。この容姿に生まれて良かったと、今は心から思うよ。遥奈のおかげだよ」

< 129 / 237 >

この作品をシェア

pagetop