初恋を拗らせたホテル御曹司は癒やしの女医にだけ激愛本能を滾らせる
「え? いえいえ、そんな、私はただ思ったことを言っただけで」
「初めて診察してもらったときから思ってたんだけど。遥奈は、どんなことにも、一生懸命に真摯に向き合ってくれるよね。忙しいと疎かになりがちなのに。通常業務に加えて専門医試験の勉強まで熟しながら、なかなかできることじゃないよ。同じ医師として尊敬してる。そういうひたむきで優しいところ、あの頃のままだよね。ありがとう、遥奈」
「い、いえっ、私は何も……」
診察の際には、初恋相手との邂逅に驚きと緊張とでいっぱいいっぱいだった。記憶だって曖昧だ。
無理もない。
世界でもトップレベルの英国医大出身の医師相手の診察なのだから。
零から、英国医大で五年間取り組んだ、即戦力となるスキルを習得するための、基礎医学と臨床医学を統合したハイレベルなカリキュラムの内容を聞いたばかりだ。
それをストレートでパスして、二十五歳という若さでGMC(英国での医師免許を管理する機関)の完全登録を完了して医師となった。その後、家業を継いで日本エリア統括支配人にまで実力で昇り詰めた零こそ、尊敬に値するのに。
そんな零から褒められるなんて、恐れ多すぎて、申し訳ないぐらいだ。