初恋を拗らせたホテル御曹司は癒やしの女医にだけ激愛本能を滾らせる
「艶やかなダークブラウンの髪はきっちりセットされて乱れもないし。スーツだって素敵だし。あれ、絶対オーダーメイドよ。着こなしだって上品で完璧だし。あの神秘的な瞳。ヘーゼルアイって言うんだっけ? 絶対ハーフだよね」
「うんうん、絶対そう。涼しげな目元の泣きぼくろが色っぽかったなぁ」
「ムチャクチャ格好よかったけど、やっぱり芸能人かなぁ?」
「これから売り出しのモデルか俳優さんとかだったりして~」
「だったらあたし、ファン一号になる!」
「「私も、私も!」」
皆競うように我先にと手を掲げながら名乗りをあげて大いに盛り上がっている。
そこでようやく遥奈は胸騒ぎの正体に気づくのだった。
なぜなら、「ダークブラウンの髪」「ヘーゼルアイ」「泣きぼくろ」「オーダーメイドのスーツ」「ハーフ」「イケメン」という特徴的なワードで思い出されたのが、あの男――神楽木零だったからだ。
(ま、まさかね……。けど、ここまで特徴が当て嵌まる人物なんて、他にいるとは思えないし……)
いくら記憶を辿っても、担当患者で該当するのは、あの男しかいない。