初恋を拗らせたホテル御曹司は癒やしの女医にだけ激愛本能を滾らせる


 とはいえ、診察には手を抜いてはいないつもりだ。

 多種多様な症状に悩む患者の心に少しでも寄り添えたらと、何か治療の糸口になるものはないかと――患者の声を一言一句聞き漏らさないように、常に心がけてきた。

(一番大事にしてきたところをピンポイントで褒めるなんて、ズルイ!)

 感極まって、泣いてしまいそうだ。

「患者さんからも、『癒やしの遥奈先生』って呼ばれて慕われるのも無理ないよ。俺も、遥奈と一緒にいると、不思議と心が軽くなって、心底癒やされるんだよね。遥奈と恋人同士になった今は、もう遥奈なしじゃいられないぐらい――身も心も遥奈に夢中だよ」

 だというのに、こんなふうに不意打ちで、医師としてだけでなく、恋人としてまで――

(零さんこそ、私をどこまで夢中にさせたら気が済むの?)

 ただでさえ胸がいっぱいで、今にも泣き出しそうだ。なのに、零の言葉は途切れない。

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