初恋を拗らせたホテル御曹司は癒やしの女医にだけ激愛本能を滾らせる


 通勤途中に零からメッセージが届き、こんなふうにやり取りしているだけで、疲弊した心が和み、暑さも和らぐ。

 多忙な日々の中でも、自分のために心を配ってくれている。

 そういう相手がいるだけで、こんなにも心が満たされて、心強いなんて……知らなかった。

 仕事や勉強に追われて味気なかった日常が、こんなにも色鮮やかになるなんて、思いもしなかった――

 思えば、零と出逢ってからこれまで、いろんな感情を教えてもらった気がする。

 恋人となった零と初めて過ごした二日間は、遥奈にとって生涯忘れられない特別なものとなった。

 夢の続きを一緒に実現すると約束した時、零は泣きじゃくる遥奈を優しく、けれどしっかりと抱き留めてくれた。

『嬉し涙なんだって、わかっていても、やっぱり遥奈には笑っていてほしい。俺、遥奈に泣かれると、どうしたらいいかわからなくなるみたいだ。だから遥奈、お願いだから、早く泣き止んでよ』

 けれど、遥奈が泣き止むまでの間、零は柄にもなくオロオロした様子で、そんなことを口にしていた。

 それがどうにも愛おしくて、遥奈の心は一層惹きつけられた。

 二日間で、これまで知らなかった零の一面を垣間見ることができた。

 これからも、零の恋人として、いろんな面を知っていくのだろう。

 ――その度に、もっともっと好きになっていくんだろうな。

 予感したとおり、零への想いは募る一方だ。
 
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