初恋を拗らせたホテル御曹司は癒やしの女医にだけ激愛本能を滾らせる
そんな日々の中、ちょっとした事件があった。
この日も、出勤してすぐ溜まった事務作業を熟しているうち、いつしか診療時刻を迎えていた。
その後、絶え間のない外来患者の診察を終え、午後の予約状況を確認した遥奈は、ふうと息をついた。
モニターの時刻は十二時五十六分。あと四分で昼休憩という時間だ。
(もうこんな時間。今日のメニューはなんだったかな?)
空腹を覚えた遥奈の頭は、仕事モードから宅配弁当の献立へと切り替わった。
初診の患者もなく、担当患者の経過も順調で、遥奈は晴れやかな気持ちで昼休憩を迎えていた。
いつものように休憩室で宅配弁当を味わいながら、京香とたわいのない会話を交わしていたのだが……
「遥奈、最近笑顔が眩しいし、髪も肌もツヤッツヤだよね。何より、生き生きしてる。やっぱり、恋の威力って凄いわね!」
「ちょっと……やめてよ。恥ずかしいでしょ」
「照れちゃって、可愛い!」
「そ、そういう京香こそ、例の彼と上手くいっているようで、安心した。今日はメイクにも気合い入ってるし、今夜はデートなんじゃないの?」
例の彼とは、京香が婚活パーティーで知り合ったという年上の男性のことだ。同じ医者というのもあり、意気投合し、交際を始めたばかり。
いつの間にか、お互いの彼氏の話になっていた。